研究概要 |
1.グリシンベタイン(GB)生産株の構築:Arthrobacter globiformis由来GB合成遺伝子(codA)を広宿主域発現ベクター(pTE3)のtrp下流域に挿入し、根粒菌(Bradyrhizobium japonicum、Mesorhizobium loti)GB生産株を構築した。コリンオキシダーゼ活性(各0.25,0.35units/mg protein)からcodA発現を確認した。BjGB生産株の細胞内GB含量(μg/mg dry wt of cell)は0.56で培地中への放出も見られた。 2.根粒着生試験:BjGB生産株の根粒着生速度は親株より早く、根粒数は13〜5倍、根粒重量、窒素固定活性(ARA)、植物体重量は1.1〜1.4倍に増加した。この優れた能力は低温条件下(20℃/10℃)でより顕著になった(根粒数と重量、ARA、植物体重量の親株に対する%:145.0,152.4,222.6,107.9)。Bjのgus標識菌体により、GB生産株は土着菌よりも根粒着生数が多い傾向が見られた。 3.GB含量の測定:Bj/GB生産株の根粒GB含量は43.5μg/gFWであった(親株は検出されなかった)。また、NF法に基づいたマーカー酵素活性値から、根粒菌(バクテロイド)で生産されたGBの87%が植物サイトゾルに放出され、その一部は、ミトコンドリアや液胞にも取り込まれている可能性が示唆された。 4.根粒菌遺伝子の網羅的発現解析:ダイズ種子抽出液(SSE)に応答するBj USDA110発現プロファイルを解析した結果、共生領域のクローン(nod、TypeIII (ttss)など)が強く発現し、ゲノム全体で発現したクローンの45%を占めた。この発現プロファイルはgenistein処理の場合と類似していた。また、浸透圧調節に関わるABC輸送系など共生領域外のクローンの発現も見られた。一方、窒素固定に関与する遺伝子(nif、fixなど)は発現しなかった。
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