研究課題
基盤研究(C)
腸管上皮内に存在するT細胞である小腸上皮内リンパ球(IEL)に注目し、食品抗原摂取によりIELに生じる変化を解析した。卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞レセプター遺伝子トランスジェニックマウス(DO11.10マウス)にOVAを含む飼料(卵白食)を3日間自由摂取させた場合、IEL中のCD4^+ IEL細胞数が増加し、IELの細胞表面分子の発現に変化が認められた。IELの遺伝子発現変化をDNAマイクロアレイ法を用いて解析したところ、対照飼料(カゼイン含有食)摂取群と比較して、98遺伝子が発現上昇し、24遺伝子が発現低下した。前者には細胞周期・増殖や免疫に関連する遺伝子が多く認められた。免疫関連遺伝子のうち最も発現上昇が顕著だったインターロイキン10(IL-10)について検討したところ、卵白食群のIELでIL-10分泌量の増加が認められた。IL-10遺伝子発現はCD4^+ IELサブセットでのみ顕著に認められ、その発現は他の腸管リンパ組織のCD4^+ T細胞よりも著しく高かった。CD4^+ IELにおけるIL-10遺伝子の発現は通常のBALB/cマウスにおいても認められた。卵白食摂取によりDO11.10マウス由来CD4^+ IELの細胞あたりのIL-10発現は上昇せず、一方全IELにおけるCD4^+IELの数が増加したことから、卵白食摂取による全IELのIL-10発現上昇はCD4^+ IEL細胞数の増加が主に関与していることが示唆された。また、各IELサブセット間で遺伝子発現の比較を行ったところ、グランザイムAの発現が他のIELサブセットと比べCD4^+IELサブセットで顕著に低いことが判明した。IL-10は一部の制御性T細胞の機能に重要であることから、CD4^+ IELが腸管粘膜における免疫応答の制御に関与する可能性が考えられ、食品抗原摂取によりその機能が増強されることが示唆された。
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