研究概要 |
針葉樹5種の各部成分化合物を、樹病感染時と健康時で比較した。また、それらの主要な化合物の病原菌成長への影響を調べ、次のことがわかった。 1.ヒノキアスナロ樹皮成分は、高級脂肪酸メチルエステルから、漏脂病に罹病後にはabietinolやabieta-7,13-dieneのジテルペンとなった。2.ヒノキ樹皮成分は、ジテルペン二量体や高級脂肪酸から、漏脂病に罹病後にはtorulosolやferuginolなどのジテルペンとなった。材成分では、罹病後より酸化が進んだ構造のテルペンが得られた。3.樹脂胴枯病ヒノキ樹脂の主化合物はtorulosolとcupressic acidであり、樹脂胴枯病ローソンヒノキ樹脂の主化合物はacetyl isocupressic acidとisocupressic acidであった。前者2ジテルペンは病原菌菌糸成長を促進し、後者2ジテルペンは抑制した。4.キバチにより変色したスギ材の特徴的な化合物はabieta-7,13-dieneとacetyl-sandaracopimarinolであった。5.漏脂病ヒノキの樹皮化合物の樹木分布を調べると、目立った増加をしめすt-communic acidが感染段階をしめす基準物質となることがわかった。6.樹脂胴枯病に感染したローソンヒノキの樹皮と材かち、抗菌性テルペンtotarol, nootkatin, nootkatone,13-hydroxynootkatoneを分泌していた。ローソンヒノキはテルペンに基づく防御メカニズムを有していた。7.樹脂胴枯病に感染したレイランドヒノキ樹脂からがcommunic acidやtotarolのジテルペンを単離した。これらは病原菌の菌糸成長を抑制した。レイランドヒノキはテルペンに基づく防御メカニズムを有していた。
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