研究概要 |
雨水利用,屋上緑化のそれぞれが持つ利点を複合的に利用し,リサイクル資材の有効利用を考慮した小規視機能融合型システムを構築した.本システムは二層化したコンテナから構成され,上部は植栽部として屋上緑化機能,下部は雨水貯留槽として機能した.また,植栽部培土にはガラス廃材から製造される発泡廃ガラスを使用し,資源の有効利用とともに,屋上緑化設置の大きな制約条件である負荷加重を考慮した軽量化も考慮した.実験により本システムの有用性および実用化に当たっての諸課題およびその対応方法について検討した. 1.リサイクル資材である発泡廃ガラス材を植栽用培土として使用する場合,植物の順調な生育を可能にするために必要とされる諸条件について実験によって検討した結果,堆肥等の有機資材の混入が有効であることが判明した.また,植物の生育に影響をおよぼす土壌中の微生物は発泡廃ガラスを単用した場合は,まったく存在しないために,ピートモス等を混和する必要があり,植物の生育にも影響をおよぼすことが判明した. 2,緑化システムの管理労力軽減のために,二層化した下部のコンテナに貯留した雨水を不織布の毛管力によって上部の植栽部に水分を補給するするシステムとしたが,十分な潜水能力があることが判明した.また,上部のコンテナには降雨時に下部に速やかに排水できるようにする必要があることが判明した. 3.夏季を中心に,緑化システムおよび周辺に温度の測点を設定し温度の変動状況について調査した結果,システムの設置によるコンクリート面の表面温度の上昇を抑制に効果かおることが判明した.また,植栽の有無による土壌表面温度については,植栽による効果は大きく,概ね15℃程度の低下が見られた.
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