研究概要 |
本研究では,変形性粒子として廃棄発泡プラスチック破砕片を用いた混合土を対象に,変形特性を中心とした基本的な力学特性について検討した.具体的には,まず,一次元圧密試験によって得られた結果をもとに,土粒子骨格中に変形性粒子が含まれた際の一次元圧縮メカニズムの相違について検討した.その結果,混合土としての圧縮には通常の骨格変形による体積変化に,変形性粒子の圧縮に起因する成分が新たに付加されることがわかった.また,この成分はさらに,変形性粒子自身の圧縮と,これによって引き起こされる骨格のさらなる変形による体積変化とに分類できる可能性も見えてきた.よって,X線CTを用いて混合土の圧縮状態を微視的に観測し,変形性粒子自身の変形量を求めて圧縮のメカニズムを検討したところ,このような分類が妥当であることが定量的に確認された.また,これらの検討と並行して二重セルを用いた三軸圧縮試験も行い,混合土の圧縮ひずみを破砕片粒子自身の圧縮によるものと間隙部分の体積変化によるものとに分離して計測することを試みた.しかしながら,破砕片粒子表面の空隙に入り込んだ水分の扱いが難しく,残念ながらそれぞれの成分を明確に分離して計測することはできなかった.従って,最終年度の後半には,この破砕片を用いた軽量混合土の実用化を考えていく際に必要となるクリープ特性や透水性・保水性といった土壌物理特性についての実験を行い,検討を加えた.その結果,クリープ特性については混合土の二次圧密量がほぼ破砕片の混合割合に比例して発現することが明らかになった.また,土壌物理特性については透水試験や保水性試験を行って実験結果を検討した結果,土にこの破砕片を混合することにより軽量化の効果に加えて透水性や保水性を改善させる効果も有することが明らかになった.
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