研究概要 |
本研究は真空(減圧)流動層乾燥冷却装置を設計試作して,穀物とカット青果物を高品質かつ高能率的に乾燥または冷却する場合の基礎データを取得したものである。得られた研究の結果は次のように要約される。1)実験装置はΦ200,1550(H)またはΦ80,1100(H)の2種類の真空流動塔,2520l/minの油回転真空ポンプ,伝熱面積2.5m^2のコールドトラップと400Wの冷凍機,700mmHg,8m^3/minのターボブロワ,300Wの電熱ヒータおよび,これらをつなぐ配管から構成した。2)コムギの真空流動層における圧力降下が一定になるのは,たとえば圧力34kPa下では約1730Paのときであり,このときの最小流動化速度は1.6m/sであった。モミの場合,34kPaでは圧力降下は約1022Paのときに一定になり,このときの最小流動化速度は1.2m/sであった。コムギとモミのいずれも,流動塔内の圧力が低くなるほど空気密度が小さくなって,最小流動化速度は速くなった。3)コムギの含水率の変化に及ぼす減圧の効果が顕著にみられ,乾燥初期の含水率は常圧下(101.3kPa)に比べて急速に減少した。4)コムギを真空流動層乾燥すれば,60℃の加熱乾燥を行うのと同程度の乾燥速度が35℃で得られることになり,本法は品質低下を抑制するとともに,速やかな乾燥を可能にする方式であることが判明した。5)モミの場合は,乾燥速度に減圧の効果はほとんど認められなかった。6)キャベツの呼吸速度は,縮小した原形のキャベツ,1/2カット,1/4カット,1/8カットの順に遅くて千切りキャベツが最も速く,この傾向は周囲温度が高いほど顕著であった。7)カットキャベツの呼吸による品質低下を抑制する観点からは,真空予冷は効果的である。実用化に際しては千切りキャベツを連続的に真空予冷した後,引続いて直ちに保冷する真空振動流動層などの技術開発が必要であると考えられた。
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