研究概要 |
大豆は、従来の米国、中国、オーストラリアに加え、ブラジルやアルゼンチンにおける飛躍的増産もあり、国際的食糧戦略上益々重要となっている。日本においても米の転作作物として生産量が増加している。このような背景から、種苗会社における優良品種の改良も盛んに行われており、栽培に依存しない種子品質の判定法の開発が望まれている。また、大豆を原料とするもやし、豆腐、納豆、味噌、醤油、食用油等の製造業では、品種、栽培地域、天候、流通保管条件等によって変化する品質を瞬時に判定し、安定した品質の製品を製造する加工条件を決定するための大豆品質の計測システムの開発を待望している。さらに、大豆の流通に係わる商社でも、品質に基づく商取引のために、大豆品質を判定・選別できる計測システムの開発を切望している。 本研究では、近赤外分光法を用いて大豆1粒ごとのスペクトルを測定し、この情報について統計学的手法を用いて解析し、大豆の生死に基づいて大豆品質を判定する選別機のソフトウエア部分を開発した。 1)人為的に品質を劣化させた大豆の近赤外線吸収スペクトルを測定するとともに、1粒ごとに生死判定を行い、統計学的手法を用いて生死判別に重要な波長域を選定し,判別式を作成した。 2)クラスター分析等の統計学的手法を用いて、近赤外線吸収スペクトルを用いた大豆の生死判別システムの中心をなすスペクトル解析を行い、開発した判別システムの性能を評価し,良好な結果を得た。 3)大豆の生死判別が可能ないくつかの波長域について,波長の帰属について検討を加えた結果,タンパク質や糖質に由来するものと考えられた。 今後,他の品種,他の栽培年度の大豆について,開発した判別システムの有効性を検討する。
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