研究課題
基盤研究(C)
Tリンパ球指向性ネコ白血病ウイルス(FeLV-T)は、高病原性のFeLV変異体であり、ネコにAIDSを引き起こす。FeLV-Tはエンベロープ蛋白のN末端に存在するPHQモチーフのHがDに変異しているため、膜融合能が欠損しており、細胞に吸着しても感染することはできない。FeLV-Tの感染には、FeLIXと呼ばれる蛋白とFeLIXが結合する細胞側の分子であるPit1分子が必要である。FeLIX蛋白は、35kDaの内在性FeLVのtruncateした形のエンベロープ蛋白である。Pit1分子は様々な細胞で発現しているが、FeLIX蛋白の発現は、リンパ系の臓器に限られている。従って、FeLV-Tの宿主域は、FeLIX蛋白が発現している細胞に限られると考えられてきた。しかしながら我々は、FeLIX蛋白は可溶性であり,かつ恒常的に発現していることから、FeLIX蛋白が血液中にも存在していると考え、様々なほ乳類の血清中のFeLIX活性をLacZを用いたシュードタイプアヅセイで検討した。その結果、ネコの血液中には機能的なレベルのFeLIX活性があることを見いだした。このことから、FeLIX蛋白はネコの体内に存在し、FeLV-TはFeLIX蛋白の発現の有無にかかわらず、ネコの体内でPit1分子を発現している細胞に感染しうると考えられた。さらに我々は、FeLIX蛋白がFeLV-BがPit1と同じ分子に結合するにも関わらずFeLIV-Tの感染を阻止しないことを見いだした。これらの結果から、FeLIX蛋白は高病原性の外来性レトロウイルスの感染に対して補助的に働き、宿主にとって不利に働いているものと考えられた。
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