研究概要 |
マウスにおいて赤色2号の投与経路を変えた結果、経口投与に対して腹腔内投与では結腸特異的DNA損傷が減弱すること、胆管結紮マウスにおいては経口投与後のDNA損傷が消失することが確認され、赤色2号の結腸における到達部位に有意なDNA損傷が認められた。In vitroにおいて、赤色2号を経口投与したマウスの結腸内容物を希釈遠心したものに、マウスおよびラットの摘出結腸片を浸したところ、いずれの結腸片にもDNA損傷が認められた。したがって、この種差は代謝に依存していると考えられた。また発癌との関係を考慮して投与回数を変え、5日間連続経口投与した結果結腸のDNA損傷は消失した。この消失は結腸粘膜の感受性の減少によるものと思われた。 そこで次にマウスの胆汁と結腸内容物中の赤色2号代謝物の分離定量を試みた。 赤色2号をマウスに経口投与(1000mg/kg)し,3時間後に胆汁と結腸内容物を採取した。結腸内容物は水で10倍希釈し,遠心後上清をセルローシアセテートメンブランフィルター(ADVANTECDISMIC-3cp,0.45μ)で濾過し、その濾液50μをHPLCに注入した。HPLC条件は:装置:Shiseido Nanopsace、検出器:ECD&UV、カラム:資生堂CapcellPakC18MG,3*250mmを用い、カラム温度:35℃で溶離液(12.5mMクエン酸,25mM酢酸ナトリウム,10mM酢酸,30mM NaOH,5%メタノール)を流速:0.5ml/minで環流した。 結果としてリテンションタイム1.5-6min程度の範囲に,分離不十分ながら対照群に認められなかったピークが複数出現した。なお,赤色のピークは50min程度に出現。そこで今後はラットの胆汁と結腸内容物について検討することとした。
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