研究課題
基盤研究(C)
マウスの自然関連性マクロファージタンパク(NRAMP1)はマクロファージの活性化に多面的影響を及ぼし、同細胞内に寄生する病原体の生存を調整している。ヒトにおける遺伝子解析においても、NRAMP1ならびにその関連遺伝子は多型で抗酸菌に対する感受性と関連をもつことが分かってきている。そこでPMAで分化させたヒト単球系株化細胞THP-1を用いて、M.aviumを感染させた場合や、サイトカインによる刺激を行りた場合の同細胞におけるNRAMP-1遺伝子ならびにタンパクの発現量をリアルタイムRT-PCR法(RT-PCR)とウェスタンブロツト法を使って調べた。NRAMP-1mRNAならびにタンパクは非付着状態の細胞にもわずかに発現しているが、PMA刺激によってその量を増加させることが分かった。さらにPMA刺激後IFNγ(200unit/ml)を加えると、PMA単独で刺激した場合に比べてmRNA量が十数倍に増加した。IFNγの刺激の有無にかかわらずM.aviumのTHP-1内における増殖は抑制された。この感染モデルはヒトNRAMP1の研究に有用なツールになると思われる。次に鼠ライ菌M.lepraemuriumに対するマウスの感受性差に及ぼすNRAMP1遺伝子の影響をしらべたが、同感染における感受性/抵抗性はNRAMP1遺伝子以外の複数の遺伝子が支配していること、10^8の菌を静脈感染させた場合、雌が雄よりも感受性を示すことが分かった。最後に、M.avium感染マウスにおけるNRAMP1遺伝子とNK細胞の役割について検討した。NK機能の低下したベージュマウスでは、菌に対する感受性が一過性に高くなった。抗NK1.1抗体をin vivo投与しNK細胞を9割除去したマウスはIFN-γ産生能が低下したが、対照マウスに比べてもM.aviumに対する感受性に違いがみられず、NRAMP1による抵抗性にほとんど影響を与えなかった。
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