研究課題
基盤研究(C)
水田に関する一連の研究課題によって得た知見から、窒素ガスに還元する唯一の自然のプロセスである生物学的脱窒を直接的な硝酸態窒素除去の方法として着目し、その窒素流出メカニズムの解明を試み、農地1筆単位からの硝酸態窒素の排出負荷量を制御する方策を探った。農地下での地下水層帯での脱窒の有無を明らかにするため、その特徴が再現されやすい扇状地で調査を行い、畑地から水田への土地利用連鎖系における地下水の水質変動の実態を把握するとともに、冬期の非湛水状態における水田心土層内の地下水層帯での硝酸態窒素除去の主因が生物学的脱窒であることを明らかにした。この研究成果から、農地の心土層に還元層を人為的に創出することによって、周年にわたる生物学的脱窒作用が発現できるのではないかと着想し、その条件を満たす農地として新しい農地構造を有した汎用化水田に着目し、野外ライシメータ試験や土壌カラム実験を行った結果、硝酸態窒素減少率が92%となり、高い数値で地下水層帯における硝酸態窒素除去が認められ、その有用性が明確となった。その減少の主因である脱窒菌には、湛水土壌系での優占種(易分解性有機物を利用する従属栄養微生物)だけではなく、それとは異種の硫黄酸化細菌(CO_2を利用する独立栄養微生物)が大きく関与している可能性が示唆された。さらに、多肥集約型畑作物の安定した収量を目指した栽培試験を行うとともに、水質測定を継続して行い、農作物の品質と収量の安定性が保証された条件下において、窒素除去を数値として明確に示した。
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Kenkyu no Shiryo to Kiroku, Division of Agricultural & Life Sciences, Graduate School, University of Tokyo, ISSN 1343-0076 Number 29