研究課題
基盤研究(C)
天然には7員環や8員環といった中員環を有する生理活性物質が多く存在するため、それらの効率的な構築法の開拓は有機合成化学における重要な課題の一つである。既に多くの方法論が開発されているが、まだまだ多くの問題がある。特に環化の際に不斉炭素が生じるようなケースでは、立体化学の制御が困難な問題となる。そこでFriedel-Crafts反応に着目し、求電子基としてエポキシドを用いることを考えた。香月-Sharplessにより開発されたアリルアルコールの不斉酸化により、エポキシドは極めて容易にかつ高光学純度で合成できることが知られている。またエポキシドは種々の求核剤と反応し,二つの連続した不斉炭素を有する化合物を立体選択的に与える。しかしエポキシドは二つの反応点を有するため、その反応では2種の異性体が生成してしまう。そのためエポキシドのFriedel-Crafts反応で7員環形成を試みても、望まぬ6員環化合物だけが優先して生成する。本課題ではビニルエポキシドをFriedel-Crafts反応の基質として用い、7員環化合物を高立体選択的、かつ高位置選択的に合成できる方法を開発した。その適用範囲は炭素環だけでなく、ハイドロベンザゼピンのような窒素原子を含んだ7員環合成にも及ぶ。また、この手法を利用して、ヒガンバナ科アルカロイドのモンタニンの骨格合成に成功した。本手法を一般性が高く、さまざまな天然物や生理活性物質の合成に利用できるものと考える。
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