研究概要 |
本研究では,電流増幅電気化学検出系の確立,固相濃縮-誘導体化反応カートリッジの概念の確立と作成,電流増幅電気化学検出系とミクロ分離系とのカップリングによって,環境ホルモンのオンサイト型簡易分析システムを構築した. 1.電流増幅系の確立 環境ホルモンのフェロセン誘導体を用いて,高感度分析のための効率的な電流増幅システムを開発した.酸化電流の増幅ではアルキル鎖修飾金電極を用いて10^<-11>mol/Lレベルの環境ホルモンを検出することができた.一方,高度な選択性が期待される加電圧0Vでの還元電流増幅検出では,同様の電極を用いてFe(NO_3)_3を無機酸化剤として共存させたとき10倍程度の増幅率を得ることができた. 2.固相濃縮-誘導体化反応カートリッジの概念の確立と作成 固相抽出と誘導体化反応を同時に固相上で行う新しい誘導体化法の確立した.スルフォニルクロリド基を有する代表的標識試薬トシルクロリドと最もよく用いられる蛍光標識試薬ダンシルクロライドを用いて検討した.トシルクロリドやダンシルクロライドを吸着したODS充填固相抽出カートリッジ上に,環境水中の環境ホルモンは濃縮され,緩和な条件で効率的に誘導体化反応が進行することが分かった.また,固相抽出とのカップリングにより,ダンシル化体の検出では10^<-12>mol/Lレベルの環境ホルモンを容易に検出することができた. 3.環境ホルモンのオンサイト分析法の提案 1および2の概念をミクロ分離系と結合することにより,簡易で高感度かつ環境負荷に配慮した環境ホルモンのオンサイト分析法提案した.
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