研究課題/領域番号 |
15590067
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
本間 浩 北里大学, 薬学部, 教授 (50190278)
|
研究分担者 |
HOMMA Hiroshi Kitasato University, School of Pharmaceutical Sciences, Professor (50190278)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | D-aspartate / aspartate racemase / HPLC / fluorescent derivatization / enantioseparation / release / hyposmollarity / PC12 cells / homeostasis / hyposmolarity / PC 12 cells |
研究概要 |
哺乳類体内の神経内分泌や内分泌器官には、高濃度のD型アスパラギン酸(D-Asp)が存在しており、ホルモンの合成・分泌に関与することが、我々の研究を始めとした解析により、徐々に明らかになっている。最近まで、D-Aspが哺乳類体内で合成されるかどうかは明らかではなかったが、我々は、哺乳類由来の培養細胞株を用いて実際に生合成されることを証明した。しかし、その合成経路の詳細は、不明のままであり、詳しい解析が期待されている。細菌、古細菌や下等動物では、D-AspはL-AspからAspラセマーゼによって合成されると考えられる。我々は、本研究課題により、HPLCを用いる高感度なAspラセマーゼ活性測定法を開発した。新規な蛍光誘導体化試薬として、N-(tert-butylthiocarbamoyl)-L-cysteine ethyl ester(BTCCと命名)を創製した。D-Aspは、この試薬およびo-phthalaldehyde(OPA)と室温で瞬時に反応して蛍光誘導体を生成する。この蛍光誘導体を逆相HPLCにより分離し、蛍光検出するシステムを構築した。その際、試薬は室温で瞬時に反応することから、蛍光誘導体化操作は試薬を混合するだけで行うことができ、自動化が可能であった。また、HPLCにおける再現性や確実性を向上させるためにisocratic溶出法で分析できるように、BTCCの化学的性質が工夫されている。このシステムは、実際に古細菌のAspラセマーゼのアッセイに適応できた。 また、PC12細胞内で生成したD-Aspが、細胞外へ分泌される経路として、2つの経路が存在することを明らかにした。一つ目の経路は、細胞外Ca^<2+>により増加し、特に刺激のない条件下でも連続的・恒常的にD-Aspを分泌する経路である。エキソサイトーシスに関与するSNAREタンパク質群のあるタンパク質の発現を抑えても分泌に影響が認められないことから、エキソサイトーシスとは異なる経路である。エキソサイトーシスで分泌されることが知られているドーパミンの分泌とは、分泌の時間経過、SNAREタンパク質への依存性、Caチャンネル阻害剤に対する感受性などの性質が異なっている。もう一つの経路は、低浸透圧によって引き起こされる分泌経路である。阻害剤に対する感受性から、特定のアニオンチャンネルを経てD-Aspが分泌されていると考えられる。この分泌は、アセチルコリン刺激によって亢進することも明らかになった。このように、内因性のD-Aspは,複数の経路を経て分泌される。細胞内の内因性D-Aspは、ほとんどが細胞質に存在している。したがって、細胞質のD-Aspがこれらに経路を経て細胞外へ分泌されているものと考えられる。
|