研究課題
基盤研究(C)
DMSOやレチノイン酸によってHL-60細胞の好中球分化誘導によってTrf-R陽性細胞(増殖型)や陰性細胞(分化型)が出現することをすでに明らかにしているが、この両細胞での発現タンパク質の差異を高分解能2次元電気泳動と質量分析を用いて解析したところ、Trf-R陽性細胞では55kDa、25kDaタンパク質が強く発現しており、Trf-R陰性細胞では11kDaタンパク質が強く発現していた。質量分析等より、この11kDaタンパク質は、Ca結合タンパク質であるMRP8がTrf-R陰性細胞に強く発現していることを見いだした。そこで、MRP8に対するsiRNAを用いてその発現をノックダウンすると、fMLP受容体やC3biの発現を指標とする分化能が抑制されることが明らかになった。MRP14/MRP8は分化誘導に伴って発現誘導されることが知られていることも考え合わせると、MRP8の不等分配がHL-60細胞の好中球機能分化に重要な役割を担っていると考えられる。次に、細胞の極性に関わる因子として最近注目を集めているatypical protein kinase C(aPKC)を取り上げ、好中球分化やその増殖における役割について解析した。ヒトaPKCとしてはPKCζとPKC_ιが知られているが、HL-6細胞はPKC_ιのみを発現していることを明らかにした。さらに、PKC_ιはTrf-R陽性細胞に強く発現しており、分化誘導を開始したHL-60細胞にG-CSFを添加すると、PKC_ιは核から細胞膜、さらに細胞質に移行するとともに、p70S6Kと会合することを見いだした。我々は、すでにp70S6Kが増殖に重要な役割を果たしていることを報告しており、今回PKC_ιに対するsiRNAを用いてその発現をノックダウンしたところ、G-CSFによるp70S6K活性化及び増殖促進効果が抑制することを明らかにした。以上の結果より、HL-60細胞の好中球分化に伴い分化に関連する因子や増殖関連因子が不等分配されることが明らかになり、これらの分子の不等分配がTrf-R陽性細胞や陰性細胞の増殖型あるいは分化型を規定している可能性が示唆された。
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