研究課題/領域番号 |
15590131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
木村 聰城郎 岡山大学, 薬学部, 教授 (10025710)
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研究分担者 |
檜垣 和孝 岡山大学, 薬学部, 助教授 (60284080)
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30291470)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 口腔粘膜 / 薬物透過性評価系 / HaCaT細胞 / 重層細胞 / 最適培養条件 / D-glucose輸送系 |
研究概要 |
本研究では、口腔粘膜における薬物透過機構の詳細を解析するため、ヒトケラチノサイト由来細胞(HaCaT)を用いて、評価に適した重層細胞の培養条件を確立し、D-glucose輸送系について種々の基礎的検討を行った。 HaCaT細胞の培養条件に関しては、細胞増殖能の面からはDMEM EGF(+)、もしくは、DMEM + Supplement EGF(+)を用いた培養が適していることが示唆された。組織学的な面からは、充分な重層が形成されており、細胞間が密に詰まっているシートを形成していたDMEM EGF(+)を用いた培養が適していると示唆された。膜抵抗値の面からは、定常状態に達する時期が早く、その後安定して、比較的高い膜抵抗値を呈するDMEM : Ham's F-12 EGF(+)を用いての培養が適していることが示唆された。一方、3T3細胞を用いた培養法は、期待したほどのメリットが得られなかった。細胞活性、重層化、膜抵抗値、D-glucoseの輸送能の検討より総合的に評価すると、HaCaT細胞系はDMEM EGF(+)を用いて3〜4週間培養したものを用いるのが最適であると示唆された。 培養したHaCaT細胞を用いて、glucoseの輸送能について検討を行った結果、細胞内への取り込みはL-glucoseに比べD-glucoseが有意に大きく、HaCaT細胞にD-glucose輸送に関与する輸送担体の存在が示唆された。そこで、抗SGLT1抗体や抗GLUT1〜3抗体を用いた免疫学的検討により、重層扁平上皮でのD-glucoseトランスポータの発現を解析したところ、SGLT1およびGLUT1〜3の発現が確認された。それにもかかわらず、すでに報告している口腔粘膜重層培養細胞層の場合と異なり、D-glucoseとL-glucoseの重層細胞層の透過に差が認められなかった点については、更なる解析が必要である。 多孔性フィルター上に重層を形成した培養細胞系を用いて、受動的に透過する親水性及び親油性の物質の透過を検討し、薬物の物理化学的性質と重層上皮の透過経路との関係について解析を行ったところ、mannitol、melatonin、estradiolの順に透過係数が大きくなり、親油性との相関が認められた。これは、HaCaT細胞が、受動輸送で透過する薬物の口腔粘膜透過性評価に有用であることを示唆する結果である。
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