研究課題/領域番号 |
15590151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩永 ひろみ 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30193759)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 機械受容器 / 洞毛 / 終末シュワン細胞 / グリア / カルシウム画像化 / 知覚神経終末 / アデノシン5'-三燐酸 / ラット / カルシウム画像解析 / アデノシン5'-三リン酸 |
研究概要 |
近年の研究によれば、グリア細胞は種々の刺激に応じて細胞内Ca^<2+>濃度の一過性上昇を示し、この細胞信号がグリアの様々な活動を促して、ニューロン機能を調節する。皮膚感覚装置では、グリア要素が分岐する突起でつながり合い、異なる軸索終末間を連絡する網をなす。このグリア網の信号の空間時間的動態と生理学的特性を明らかにするため、ラット頬ひげの動き受容器である槍型終末を生きたまま分離して、細胞に神経伝達物質アデノシン5'-三燐酸(ATP)を与えたり、マイクロマニュピレーターで操作したガラス針で触れて刺激しながら、Ca画像を共焦点顕微鏡のコマ落としで観察した。また、細胞応答の形態学的背景を電顕でしらべた。ATPの刺激は、グリア細胞に振動性の細胞内Ca^<2+>濃度上昇を惹き起こした。Ca^<2+>応答は、グリアの細胞体よりも槍型軸索終末に伴行する薄板突起で常に先行し、一回の刺激剤投与で各薄板突起に観察されるCa^<2+>振動の第一波は、その突起内の特定の焦点で生成した。一方、微小ガラス針で槍型終末に触れると、刺激されたグリア薄板がCa^<2+>スパイクを示し、それらは、ときに波として細胞内、細胞間を伝播して、近隣の槍型終末を包むグリア突起に達した。これらの所見は、槍型終末グリア細胞が各薄板突起を機能単位とする小区域に別れ、区域内の信号によって伴行する軸索終末の活動を、区域間の信号伝播によって近隣の別の槍型終末の状態を、調節できることを示唆する。薬理学的実験によって、ATPに対するグリアの応答の責任受容体亜型はP2Y_2と同定された。この受容体の活性化は、細胞内所蔵所からのCa^<2+>の放出を促すことが知られる。電顕観察で、槍型終末のグリア薄板は、その内腔にCa^<2+>を貯蔵すると思われる滑面小胞体を含み、Ca信号の細胞間伝播に関与すると予測される、ギャップ結合を示した。
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