研究概要 |
1.緒方重光:舌下神経と舌神経の交通枝を実体顕微鏡下で観察し,交通枝の形態分類を行った。舌下神経と舌神経の交通枝は,通常容易に観察される舌骨舌筋の前部筋束上以外に,オトガイ舌筋中の舌中部と舌尖部の計3箇所で確認された。また左右側の両神経の交通枝は,舌体部では舌中隔に阻まれて存在しないが,舌尖部の舌中隔が途切れる辺りに見られた。両神経の交通は,さらに末梢側の舌中部と舌尖部でも観察された。特に舌尖部では舌神経と舌下神経が神経叢とも言えるほど複雑な網の目をつくっている。また,舌下神経は基本的に舌筋の運動を支配する純運動性の神経とされているが,舌神経と交通することによって,いくらかの知覚線維も含んでいると考えられる。舌神経は,舌内では本幹から7〜8本の細枝が分かれており,それらが網目状に多数のループを形成しながら舌背に分布していた。特に舌尖部では神経線維の蛇行が強く複雑に分岐していることが解明できた。 2.田松裕一:舌筋と関連の深い舌骨の構造解析のために,極微小焦点X線断層撮影装置(マイクロCT)を用いて撮影した。さらに3次元構築ソフト(SURF DRIVER)により神経の走行の3次元立体画像作成を行った。 3.峰和治:舌の神経線維と周囲組織との識別を容易にするために簡易組織鍍銀法を施した。その材料を,実体顕微鏡下で観察しながら,舌下面より舌の外側部分から末梢側へと両神経の走行を舌尖部まで肉眼解剖的に観察した。その際に,実体顕微鏡による観察や神経解析を行った。
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