研究課題/領域番号 |
15590173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
川上 速人 杏林大学, 医学部, 教授 (30146542)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 糖脂質 / モノクローナル抗体 / 組織化学 / 小腸 / ガングリオシド / グロボシド / カベオラ / 腎糸球体 / 神経叢 |
研究概要 |
ラット各臓器、特に消化管と腎組織における糖脂質の分布について、共焦点レーザー顕微鏡観察並びに包埋前染色法による電顕的検索をおこなった。ラット各臓器を4%ホルムアルデヒドおよび1%グルタルアルデヒドにて固定した後、未凍結切片(厚さ40μm)を作製し、各種糖脂質(GM1、GD2、GD3、GQ1b、GT1b、Gb3等)に対するモノクローナル抗体にて1〜3日間処理した。一部はHRP一ウサギ抗マウスIgG, M標識後、DAB反応を経てEpon包埋し、透過電顕観察した。また一部は、Cy3-ヤギ抗マウスIgG, Mにて標識後、共焦点レーザー顕微鏡下にて観察した。光顕レベルで消化管の各部位ごとに染色性を比較すると、食道と胃では全体的に反応性が低かったが、神経叢領域で抗GQ1b等に陽性所見を認めた。小腸では多くの抗体で陽性反応を呈し、特に外縦筋層は抗GD2、抗GM1等に、またアウエルバッハ神経叢は、抗GQ1b、抗GD2、抗GM1等に強い陽性所見を認めた。その一方で、小腸上皮は、絨毛と陰窩とでは反応性が異なり、絨毛では一部の上皮細胞が抗GM1や抗GD3に陽性であったのに対し、陰窩の腺上皮細胞では抗Gb3グロボシドに強い陽性反応が認められた。結腸の腺上皮細胞も抗Gb3陽性であった。これら腸上皮における糖脂質の発現パターンは、発生・分化の過程で微妙に変化することも確認された。電顕的には、特に陰窩上皮細胞の抗Gb3反応陽性部位が、基底側壁部細胞膜並びにゴルジ層板であることが確認された。小腸外縦筋細胞における抗GD2、抗GM1陽性部位は形質膜とカベオラであった。また、アウエルバッハ神経叢における抗GQ1b陽性部位は神経細胞体周囲の一部の神経終末であった。更に、腎糸球体では、足細胞の足突起先端部にGb3グロボシドの特徴的な分布が認められ、基底膜との相互作用や濾過機能への関与が注目された。また、糖尿病を自然発症する系統であるGKラットでは、腎糸球体での糖脂質の発現が上昇することも確認された。糖脂質はラット各臓器の細胞ごとに特徴的な分布を示し、各種細胞機能を解析する上でよい指標になると期待された。
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