研究課題
基盤研究(C)
p53結合蛋白質1(53BP1)は、DNA二重鎖切断が発生すると損傷部位に集積して点状のフォーカスを形成することから、細胞周期チェックポイント、あるいはDNA:二重鎖切断修復に関与することが想定されている。私は、大腸癌細胞株SW48が53BP1蛋白質を発現していないことを見出し、この細胞を用いて、53BP1を誘導発現できる細胞株(SW48dox53BP1)を樹立した。53BP1非発現状態のSW48dox53BP1細胞では、X線照射後、細胞周期がmetaphaseに停止しているにも関わらず姉妹染色分体が分離する、姉妹染色分体早期分離が高率にみられた。この現象が、53BP1発現により抑制されることから、53BP1が姉妹染色分体の分離を制御している可能性が示唆された。一方、SW48dox53BP1細胞でX線照射後の染色体断裂数を定量すると、53BP1非発現細胞では、発現細胞に比べて染色体断裂数が増加していた。さらに53BP1が、DNA二重鎖切断の非相同末端結合修復で特異的に機能するDNA Ligase IV/Xrcc4複合体のライゲーション反応を増強させることがわかった。以上より、53BP1がDNA二重鎖切断の非相同末端結合修復に関与することが示唆された。さらに、ニワトリDT40細胞を用いた53BP1-/-細胞の樹立とその解析から、53BP1が、相同組換え修復経路、古典的非相同末端結合修復経路とは異なる、Wortmannin抵抗性の非相同末端結合修復経路に関与していることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (8件)
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