研究概要 |
1.組み換え体EC-SODを培養細胞の培地上清より精製し、安定的供給する手法を開発した。 2.運動トレーニングが、組織EC-SOD結合容量が増加させ、血漿中のEC-SODが有意な低下を示した。極めて厳しい運動で虚血・再還流による酸化ストレスをシミュレーションすると、EC-SODは血中に放出され、酸化ストレスによる末梢組織のプロテオグリカンの酸化的修飾が、EC-SODの生体内局在に関与する可能性が示唆された。(Free Radic.Res.,303,914-919,2003) 3.EC-SODのN末端削除型変異体は核に蓄積し、分泌型EC-SODは3T3-L1細胞に取り込まれ、一部に核移行がみられた。強い酸化ストレスが、EC-SODの細胞に対する結合を抑制し、すでに取り込まれたEC-SODの細胞核内移行を増加させた。(Biochem.Biophys.Res.Commun.,303,914-919,2003) 4.ヒト肺から精製したEC-SODをヘパリン親和性カラムで分画し、抗ヒトEC-SOD抗体を用いたウエスタンブロット法でヘパリン親和性とC末端修飾の関連を明らかにし、in vivoの組織分布に、分子内結合によるヘパリン親和性の変化が寄与している可能性を示した。(Free Radic.Res.,37,823-827,2003) 5.精製EC-SODとラット血管平滑筋細胞(RASMC)を用いた実験で、RASMCが培地中の組み換えEC-SODを良く取り込み、ヘパリンがそれを抑制すること、TPAや過酸化水素によりRASMCに過酸化物が蓄積しヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB-EGF)の発現が増加するが、EC-SODがHB-EGF発現を抑制することから、EC-SODは酸化ストレスが惹起するEGFシグナリングを遺伝子発現レベルで抑制することを示した。(Free Radic.Res.,2006,in press)
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