研究課題/領域番号 |
15590263
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
神奈木 玲児 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 部長 (80161389)
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研究分担者 |
八尾村 多佳朗 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, リサーチレジデント
金森 審子 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 研究員 (00261173)
田口 修 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 室長 (00142167)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 低酸素誘導因子(HIF) / 細胞接着分子 / DNAマイクロアレイ / セレクチン / インテグリン / シンデカン / フィブロネクチン / 血管内皮 / 低酸素 / 転写因子 / 遺伝子発現誘導 / DNAアレイ |
研究概要 |
細胞接着が多くの疾患の病態生理に深く関連していることはよく知られている。我々はこれまで悪性細胞の細胞接着分子の機能亢進とその機序を検索してきたが、その過程で低酸素条件下での培養が細胞接着を強く促進することを見いだした。低酸素条件下での培養による細胞応答の変化は、広く糖尿病、腎疾患、動脈硬化、癌などの悪性疾患、虚血性脳および心疾患や臓器移植をはじめとする外科手術など血管に関連する多くの疾患において病態生理の根幹のひとつとなっている。血管内皮の細胞接着もまたこれらの疾患と深い関連性がある。そこで本研究では、低酸素条件下での培養で誘導される細胞接着能の亢進の機序を研究することを目的とした。 DNAマイクロアレイに加えて、70種の遺伝子についてRT-PCRを行い、低酸素条件下での培養で転写が誘導される遺伝子を検索した。その結果、FUT7,ST3O,UGT1およびGLUT1遺伝子の発現が低酸素下で誘導されることが見いだされた。これらの遺伝子はいすれも血管内皮の細胞接着分子セレクチンに特異的に結合する糖鎖リガンドであるシアリルルイスa糖鎖やシアリルルイスx糖鎖の合成を導く遺伝子であった。これらの遺伝子の転写が誘導された結果、低酸素条件下での培養により血管内皮への細胞接着が強く促進された。 また、低酸素条件下での培養では、SDC4やITGA5遺伝子の発現も強く誘導された。これらの遺伝子はフィブロネクチンへの接着に深く関与するものであり、そのためこれらの遺伝子の転写が誘導された結果、低酸素条件下での培養によりフィブロネクチンへの細胞接着が強く促進された。さらに糖鎖の合成にかかわる数個の遺伝子の発現が低酸素により誘導されることが見いだされ、それに対応した細胞表層の糖鎖変化が見いだされた。これらの遺伝子誘導の背景には転写因子HIFがあるが、その転写誘導には、HIFのみで活発に誘導されるものと、HIFと他の転写因子の共同作用によって誘導されるものが見いだされた。
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