研究課題
基盤研究(C)
我々がv-src癌遺伝子による細胞癌化を抑制する活性を持つ遺伝子として分離したDrsはSushiモチーフと膜貫通ドメインを持つ新しいタイプの癌抑制遺伝子である。我々はDrsによる癌化抑制機構と癌発生におけるこの遺伝子の役割を解析し以下の成果を得た。1.Drsが小胞体においてアポトーシス誘導蛋白ASYと結合し、種々のヒト癌細胞株にCaspase-12,-9,-3の活性化を介するアポトーシスを誘導することを見いだした。2.Drs遺伝子ノックアウトマウスを作製することに成功した。ホモのDrsKOマウス(46匹)は生後8-12ヶ月で、その約25%にリンパ腫、肺癌、肝癌、肉腫などの悪性腫瘍が発生したが、Wild-typeマウス(23匹)では12ヶ月までに腫瘍発生は認められなかった。3.DrsKOマウスの肺癌から樹立した癌細胞株LC-T1にレトロウイルスベクターによってDrsを再導入すると、ヌードマウスでの造腫瘍能が顕著に抑制された。このときDrsを再導入した癌細胞による腫瘍ではCaspase-3の活性化を伴うアポトーシスが亢進していた。4.DrsKOマウス由来胎児繊維芽細胞(MEF)はラパマイシンやデキサメタゾンなどの薬剤によるアポトーシスに耐性を示した。5.DrsKO MEFではグルコース飢餓条件下でアポトーシスを起こすことから、Drs誘導アポトーシスとmTORシグナル経路との関連が示唆された。これらの結果からDrsはアポトーシス誘導を介して癌化抑制に関与していることが明らかになってきた。今後、DrsKOマウスおよびKO細胞を用いて、Drsによる新規アポトーシス経路の生理的役割と発癌制御の分子機構をさらに詳細に解明してゆきたい。
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