研究課題/領域番号 |
15590339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 千里金蘭大学 |
研究代表者 |
實寳 智子 千里金蘭大学, 生活科学部, 講師 (70252658)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | マスト細胞 / 自然免疫 / ミュータントマウス / 転写因子 / MITF / 細胞分化 / 細胞増殖 / 細胞機能 |
研究概要 |
mi遺伝子座によってコードされる転写因子MITFミュータントマウスのマスト細胞ではマスト細胞の分化に関連する種々の遺伝子の発現が低下しており、これらの遺伝子の転写はMITFによって促進されている。またバソプレッシン遺伝子がmi遺伝子のプロモーター領域に挿入されたためにMITFを発現しないtg/tgマウスでは腹腔のマスト細胞が全く欠損している。腹腔のマスト細胞を欠損しているという点ではW/W^vマウスとtg/tgマウスは同じであるがtg/tgマウスの自然免疫反応については調べられていない。本研究ではW/W^vマウスとtg/tgマウスを用いて、両者の自然免疫反応を比較することにより、マスト細胞の自然免疫反応における役割を解析した。マウスの盲腸に穴をあけて急性細菌性腹膜炎を誘導する(Caecal ligation and puncture : CLP)と、マスト細胞を遺伝的に欠損するW/W^vマウスでは正常(+/+)マウスよりも生存率が低下する。tg/tgマウスでもW/W^vマウスと同様にCLP後の生存率が低下した。このW/W^vマウスとtg/tgマウスの生存率の低下はCLP後腹腔で好中球の数が増加しないことによる。+/+培養マスト細胞を腹腔に移植すると、W/W^vマウスではCLP後に好中球の数が増加し生存率も回復する。しかし、tg/tgマウスでは好中球の数が増加せずマウスの生存率も回復しない。CLP直後にTNF-αを腹腔に注射すると好中球の数が増加し生存率も回復するのでtg/tgマウスの好中球はW/W^vマウスと同様に正常である。+/+培養マスト細胞を腹腔に移植するとW/W^vマウスでは腹腔でも腸間膜でもマスト細胞は出現する。一方、tg/tgマウスでは腹腔にマスト細胞は出現するが腸間膜には出現しない。これらの結果は腸間膜のマスト細胞が自然免疫に重要であることを示唆する。マスト細胞の組織特異的な分布が自然免疫に影響することはtg/tgマウスを用いてのみ示されており、この点でtg/tgマウスは極めて有用である。
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