研究課題
基盤研究(C)
2-アセチルアミノフルオレン/部分肝切除(AAF/PH)モデルを施行してオーバル細胞の発生を促したF344ラットの肝臓では、オンコスタチンM(OSM)の発現はサイトケラチン19(CK19)により同定されたオーバル細胞とED2により同定されたクッパー細胞に認められた。一方、OSMの受容体(OSMR)の発現はCK19を指標として同定されたオーバル細胞に強く検出された。293T細胞にラットのOSMのcDNAをトランスフェクションして得られた培養上清でオーバル細胞株(OC15-5)を処理すると、OC15-5の増殖は抑制され、形態的に肝細胞様細胞へ変化し、肝細胞に特異的な酵素であるチロシンアミノトランスフェラーゼやトリプトファンオキシゲナーゼの発現が誘導された。OSMはオーバル細胞を肝細胞へ分化誘導すると考えられ、OSMはオーバル細胞による肝再生において重要な役割を果たしている可能性がある。Dlk(delta-like leucine zipper kinase)は肝芽細胞に発現する膜蛋白である。AAF/PHモデルを施行してオーバル細胞の発生を促したF344ラットの肝臓では、Dlkの発現はCK19を指標として同定されたオーバル細胞に強く検出された。しかし、その頻度は全てのCK19^+オーバル細胞の約20%であり、Dlkを発現していないCK19^+オーバル細胞も多数存在した。Dlk^-オーバル細胞はグリソン鞘周囲に存在するのに対して、Dlk^+オーバル細胞はグリソン鞘周囲から離れて成熟肝細胞に接するように存在した。また、Dlk^+オーバル細胞の増殖能はDlk^-オーバル細胞に比べて低かった。以上の結果より、オーバル細胞は肝幹細胞に近い未熟な細胞から肝細胞に近い成熟した細胞を包括するヘテロ集合体と考えられ、Dlk^+オーバル細胞はDlk^-オーバル細胞から肝細胞への成熟期にある細胞である可能性が示唆された。
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