研究課題
基盤研究(C)
GPI結合蛋白はC末端の脂質の修飾により細胞二重膜の外葉に結合している蛋白の総称で、それ自身何ら細胞質内構造を持たないが、糖脂質豊富膜ドメイン/ラフトの構成成分として細胞内への刺激伝達に関与する。本研究では、B前駆細胞におけるGPI結合蛋白を介した細胞内刺激伝達回路について明らかにし、そのB細胞の初期分化機構における機能的役割についての検討することを目的とした。ヒト骨髄CD34+細胞をマウス骨髄間質細胞株と共培養してPro-B細胞を分化誘導し、GPI結合蛋白CD24を特異的単クローン抗体添加によって架橋刺激したところ、アポトーシスが誘導され、正常のB前駆細胞でもGPI結合蛋白を介してアポトーシス誘導刺激が伝達されることが明らかになった。BLNKはB細胞のラフト刺激伝達において重要な役割を担っている。複数のB-precurosor ALL細胞株におけるBLNKの発現を検討した結果、強発現している株から、ほとんど発現していない株まで様々な発現状況が明らかになった。pre-BCRを発現するpre-B ALL株のうち、BLNK強発現株NALM-17と同欠損株HPB-NULLを用いて、pre-BCR刺激伝達系におけるBLNKの役割について検討した。この結果、抗μ鎖抗体によるpre-BCR架橋刺激により、細胞内蛋白のチロシンリン酸化やMAPキナーゼ系の活性化は同等に起こるものの、PLC-γ2および細胞質内Ca++の濃度の上昇はBLNK発現株のみで認められた。以上の結果は、BLNKがpre-BCR刺激伝達系においてPLC-γ2を介するCa++の濃度の上昇に重要な役割を担っていることを示している。現在、GPI結合蛋白を介するアポトーシス誘導刺激におけるBLNKの機能につきさらに検討中である。
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