研究課題
基盤研究(C)
当該研究は、溶血レンサ球菌が産生するストレプトリジンO(SLO)によって代表される、特異的脂質を標的として生体膜に結合する孔形成細胞溶解毒素が、毒素を構成する4つの蛋白ドメインのレベルで、どのように生体膜へ結合後、会合し溶血を起すのか、19男年に発表した分子会合モデルと関係づけ、その機構を超微形態学的に解析することを目的とした。徳島大学の長宗秀明教授の研究協力により、毒素を構成する4つのドメインのドメイン2とドメイン3を-SSで架橋し、膜結合能と分子会合能は有するが、膜への貫入能が制限されたSLO変異体で解析した。ヒト赤血球ゴースト膜に、SLO変異体を非還元状態とジチオスレイトール(DTT)で還元処理した際のネガティブ染色像から、非還元状態では、会合は、ほぼ全て正円状にまで進むが、半巾の孔を伴わないリングが観察されたのに対し、DITで還元処理した際に、孔を伴った巾の太い二重リング瓜膜貫入能の回復により、時間を伴って増加する様子が観察された。また、理化学研究所の赤木巧氏の研究協力により、電子分光顕微鏡を用いた電子分光結像法によるゼロ・ロス像でのリボソーム観察において、0℃での膜への結合像ならびに会合像、温度上昇による孔を伴った際のリング像のそれぞれの高さ、リング巾、リング径の計測解析を行った。これらの研究結果を総合し、(1)1993年に報告(J.Bacteriol)したSLO分子会合モデルの内外分子の基部と頭部は、それぞれSLOを構成する4つのドメインに相当し、内外のリングは、同一分子によって構成される。(2)SLOは、赤血球膜のコレステロールを標的としてドメイン4で、温度非依存的に膜に結合し、電顕像として、一重リングを形成する。その後、0。0℃でも分子会合まで進むが、リング内側に位置するドメイン3が、一分子ずつ撰が打ち込まれるようにリングの径を大きく膨らませながら、膜内侵入し、電顕像として、孔を伴った二重リングとして観察される。このドメイン3の膜内侵入のコンフォメーション変化に、温度の上昇が必要であり、孔形成は温度依存的な所以を超微形態学的に証明することができた。
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