研究課題/領域番号 |
15590399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 大阪大学 (2004) 杏林大学 (2003) |
研究代表者 |
山口 博之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40221650)
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研究分担者 |
田口 晴彦 杏林大学, 医学部, 助教授 (20146541)
大崎 敬子 杏林大学, 医学部, 助手 (90255406)
神谷 茂 杏林大学, 医学部, 教授 (10177587)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | Chlamydia pneumoniae / 生体内伝播様式 / 動脈硬化 / real-time RT-PCR / 末梢血液細胞 / NODマウス / 糖尿病 / real-time RT-PCR法 / ルイスラット / 末梢血液 / 生体内伝播 / クラミジア・ニューモニエ / 未梢血液PBMC / real-time PCR / Syber green / 動物モデル / 生菌 / RNA |
研究概要 |
アテローム性動脈硬化症は脳、心臓、その他の重要な器官および四肢の動脈に起こる血管壁内層への脂質の蓄積を伴う動脈硬化の一種である。アテローム性動脈硬化症による心臓発作や脳卒中は米国、西洋諸国そして本邦における死亡の主要な原因であり、その病態機序解明および根本的治療法の開発は心臓発作および脳卒中の予防・治療の本質的なストラテジーである。1999年、Rossはアテローム性動脈硬化症の病態形成がリンパ球や単球/マクロファージを主体とする免疫担当細胞の関与する慢性炎症反応であるという説を初めて提示した。現在、この考えは広く認められ、偏性細胞内寄生性細菌Chlamydia(Chlamydophila)pneumoniaeがこの慢性炎症反応を惹起する要因であると考えられている。またC.pneumoniae遺伝子や抗原が動脈硬化プラークより高率に検出されることより、動脈硬化病態形成には本菌の硬化巣への感染そのものが極めて重要な要因になっている可能性も考えられる。しかしながら本来、経気道感染により肺炎を誘導する普遍的な日常感染菌がどのように動脈内に移行し動脈硬化病変形成に関与しているのか明らかにされておらずそのメカニズム解明は進んでいない。そこで本研究ではC.pneumoniaeの生体内伝播様式を解明することを目的として、健常人ならびに循環器障害を持つ患者末梢血液細胞PBMCからの生菌レベルでのC.pneumoniaeの検出を試みた。また肺に感染したC.pneumoniaeを生菌レベルにて末梢血液に移行しうる動物モデルの確立についても検討を検行った。その結果、ヒト末梢血液細胞PBMCからC.pneumoniaeが生菌レベルで検出された。本菌の検出レベルが健康人に比べ循環器障害を持つ入院患者にて有意に高かった事より、ヒト末梢血液細胞での本菌の存在は動脈硬化症発症において大きな危険因子になりうる可能性が示唆された。またC.pneumoniae感染NODマウスにおいて本菌の肺から末梢血液細胞への生菌レベルでの移行が確認された。C.pneumoniaeの肺から末梢血液細胞への移行機序ならびに末梢血液細胞内でのC.pneumoniaeの存在意義を解明するためには更なる検討が必要であるが、本研究により得られた結果は、本菌感染症の動脈硬化症病態形成機構を考える上で極めて有用な結果であると思われた。
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