研究課題
基盤研究(C)
E型肝炎ウイルス(HEV)はヒトを含む哺乳類全般に経口感染を示すウイルスである。ウイルス様中空粒子(VLP)はウイルスの構造を保持する空の粒子であり、構造が本来のウイルスと同様であるために、構造解析やワクチン研究に広く用いられている。近年、HEVのopen reading frame 2 (ORF2)のbaculovirusでの発現系でVLPが作成出来ることが確認された。本研究ではこのVLPのワクチンや遺伝子治療のベクターとしての可能性を検討した。VLPに外来の抗原エピトープを挿入したキメラVLPを作成し、その抗原エピトープに対する免疫反応の誘導をみたところ、キメラVLPを経口投与したマウスでは液性、細胞性免疫反応が粘膜面のみならず、全身的に誘導された。次にVLPが遺伝子治療やDNAワクチンのベクターとなり得るかを検討した。VLPがCaイオン依存的に粒子を構成していることからDNAワクチン溶液内でCaイオンをキレートし、VLP分子間を広げ、その後Caイオンを再添加し、DNAワクチンをVLP内に封入した。このDNAワクチン封入VLPをマウスに経口投与したところ液性、細胞性免疫反応が粘膜面のみならず、全身的に誘導された。以上のようにVLPをワクチンベクターとして用いることは感染症に対する新たなワクチン戦略となると考えられ、現在上記2つのキメラVLPならびにDNAワクチン封入VLPを組み合わせ、より効果的なワクチンの開発を行っている。
すべて 2004 2003 その他
すべて 雑誌論文 (9件) 文献書誌 (4件)
Gene Ther. 11
ページ: 628-635
臨床とウイルス 32
ページ: 362-371
Vaccine 20
ページ: 3149-3156
Int.J.Exp.Path. 84
ページ: 101-106
Gene Ther. 10
ページ: 2119-2125
アレルギー・免疫 10
ページ: 81-88
Vaccine 21