研究概要 |
期間中に入院した全患者数は3291名(のべ人数)であった.この中で入院診療録から検査を行ったことが確認できた患者数は,髄液検査は824名(25%),針筋電図は306名(9.3%),筋生検は64名(1.9%),神経生検は19名(0.6%)であった. 有用性について (1)髄液検査:感染症では,病原体の検査が28.8%で有用であり,81.8%で一般検査ないし病原体検査のいずれかで異常を示していた.ウイルスと細菌等(細菌,結核,真菌,梅毒等)を比較すると,髄液検査はウイルスよりも細菌等で有用であり(76.2%vs100%),病原体検査に限ってもウイルスよりも細菌等で有用であった(19%vs50%).免疫および炎症に関係した疾患群では,一般検査ないし特殊検査のいずれかで異常を示していた症例は53.5%を示していた.また,特殊検査では,MSは,他の免疫,炎症疾患群より有用であった(43.8%vs7%〜16%). (2)針筋電図:67.1%で有用であり,筋疾患で68.3%で有用であり,筋疾患以外で66.7%で有用あった.中でも運動ニューロン病で92.3%と高い有用性が示された. (3)筋生検:59.7%で有用であり,炎症性筋疾患で他の筋疾患より有用であった(89.5%vs48.6%)で有用であった. (4)神経生検:66.7%で有用であり,炎症性ニューロパチーで有用な傾向がみられた. 合併症について (1)髄液検査:20.1%に頭痛を認めていた.疾患分類別にみると,筋疾患(44.4%),運動ニューロン病(33.3%),ニューロパチー(28.3%)で頻度が高く,他は概ね10〜20%であった.他の合併症として,7例で腰痛を認めた. (2)針筋電図:検査時の疾痛,違和感以外は明らかなものはみられなかった. (3)筋生検:3例(5.1%)で創部の癒合不良がみられたが,後遺症状は残さなかった. (4)神経生検:3例(16.7%)でみられ,創部の癒合不良が2例,創部周辺のしびれ感が1例確認された.しびれ感を認めた症例のみ症状を残した.
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