研究課題/領域番号 |
15590476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
羽里 忠彦 東京都医学研究機構, 研究員 (60109949)
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研究分担者 |
西村 欣也 順天堂大学, 医学部痲酔学教室, 助教授 (80164581)
山本 行男 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (80124501)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | スパイノルヒン / リウマチ / インヒビター / 疼痛制御 |
研究概要 |
脊髄に高濃度存在していたenkephalin分解酵素阻害物質・スパイノルフィン(以後spinorphin LVVYPWT)はブラドジニン(BK)を用いた薬理試験において、生理的な低濃度で鎮痛活性を有することが分かった。その効果は百日咳毒素処理に非感受性で、モルヒネ等のオピオイドと異なり、G蛋白を介さない新たな情報伝達機構に関与している可能性を報告してきた。更に、本物質はenkephalin代謝酵素を発現する好中球の機能(遊走・脱顆粒等)をそれぞれ阻害し、カラゲニンで惹起したマウス急性炎症モデル系での、好中球集積を有意に抑制することも明らかにした。この好中球機能の抑制効果は、spinorphinが刺激剤(FMLP)の細胞表層レセプターへの結合阻害に由来していると考えられた。一方、spinorphinを介した新しい疼痛制御メカニズムを解明するために、enkephalin代謝酵素DPPIIIに着目した。15年前enkephalin代謝酵素のインヒビターが、副作用がない鎮痛薬として脚光を浴びていた。エンケファリナーゼインヒビター・チオルファン等が数多く合成され、薬理試験を経て、一流雑誌等に数多く報告されてきた。当時、私達はDPPIII活性等のenkephalin代謝酵素を抑制する物質がヒト脳脊髄液中に存在することを突き止めた(1989年臨床薬理理財団・1988年内藤財団シンポジュウム)。そこで、生体におけるインヒビターを探索し、ウシ脊髄に高濃度存在していたspinorphinを、7段階カラム操作で単離精製することに成功した。近年spinorphinアナログのtynorphinが特異的DPPIIIインヒビターであることも明らかにした。更に、tynorphinは、spinorphinと同じ程度の強い鎮痛活性を有することも分ってきた。このような背景より、spinorphinが生体の複雑な慢性疼痛の制御機構にどのように関与しているのかを研究している。その結果、炎症の要として作用している好中球表層に、DPPIII活性が高濃度存在していることを明らかにした。本年度、慢性疼痛のリウマチ関節液中で、RAにおいてOAと比較して6倍前後の異常な高直を有することが分かってきた。spinorphinは、モルヒネと同等の強い鎮痛効果も確認され、それ自体にも好中球に対する脱顆粒抑制等による抗炎症作用が有る。更にspinorphinは、海馬スライス標本を用い、高頻度の刺激条件下で、シナプス電位の長期増強を、単独で抑制した。この活性は、NMDA受容体拮抗薬により抑制される特色のある化合物で有ることが分かってきた。
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