研究課題
基盤研究(C)
スフィンゴシン1-リン酸(S1P)が、高密度リポ蛋白質(HDL)の抗動脈硬化作用に関与していることを調べるため、血管内皮細胞や血管平滑筋細胞を用いて遊走作用や生存保護作用を観察し、その作用機序がS1P受容体を介しているかを解析した。さらに、健常者ボランティア16名から血漿サンプルを採取して、血漿中S1P濃度や血清中HDLコレステロール濃度を測定し、コレステロールを形成するアポリポ蛋白を分析し、S1P濃度との関連を調べた。以下に得られた成果を列記する。・HDLによって誘導される血管内皮細胞の遊走促進作用や生存保護作用は、リポ蛋白に結合するS1Pにより、血管内皮細胞に発現するS1P_1受容体とS1P_3受容体を介して、その作用が発揮される。・HDLに結合するS1Pは血管平滑筋細胞の遊走抑制作用があり、その作用は血管平滑筋細胞に発現するS1P_2受容体を介して発揮される。・ボランティアから得られた血漿中からHDLやLDLを抽出し解析したところ、HDL-S1Pはアポ蛋白A-Iを含むリポ蛋白とアポ蛋白A-I/A-IIを含むリポ蛋白に関連し、血清中HDLコレステロール濃度とアポ蛋白A-I濃度と相関が認められた。LDL-S1PはLDLコレステロール濃度とアポ蛋白Bと相関していた。HDL-S1PとLDL-S1Pの濃度バランスを調べることは、HDL-CとLDL-C濃度のバランスを調べることと同様に、冠動脈心疾患のリスクを予防するのに役立つ可能性がある。
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