研究課題
基盤研究(C)
脂肪細胞分化とSH2-Bスプライシングバリアントの発現量の変化マウス3T3-L1細胞はインスリンとデキサメサゾン、IBMXの添加により8日から2週間で脂肪細胞へと分化する。脂肪細胞への分化の評価はOil Red Oによる脂肪滴の染色、脂肪細胞特異的遺伝子の発現の亢進、GPDH活性の測定により行った。α-,β-,γ-,δ-4つのイソフォームのうちβ-とγ-のSH2-Bの発現が確認され、さらにそれらの発現レベルは分化の進行に伴って増加していた。SH2-Bファミリータンパク質のうちAPSの発現はSH2-Bよりも少し遅れて発現量が増大したが、lnkは変化がなかった。lnkの発現は血球系の細胞に限られており、脂肪細胞分化との関わりは少ないと思われる。3T3-L1細胞への遺伝子導入pcDNA3.1ベクターを用いて、3T3-L1細胞にヒトSH2-Bの野生型及び変異型cDNAを導入した。G418により安定形質転換株を選択し、RT-PCR法及びWestern Blotting法によりヒトSH2-Bの発現を確認した。インスリン等による脂肪細胞への分化誘導に対して、野生型SH2-Bにより形質転換した細胞の応答は亢進していたが、ドミナントネガティブ型のSH2-Bの遺伝子導入株では、脂肪細胞への分化がほぼ完全に抑制されていた。さらに、ヘアピン型siRNA発現ベクターを用いたRNA干渉により内在性SH2-B遺伝子をノックダウンした3T3-L1細胞においても同様に脂肪細胞への分化が阻害されていた。以上の知見から、SH2-Bはインスリン刺激による3T3-L1細胞の脂肪細胞分化にとって必須の因子であると考えられる。
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