研究概要 |
本研究の目的は、日本人若年女性のカルシウム摂取量およびビタミンDの栄養状態とビタミンD受容体遺伝子多型の骨密度に対する交互作用を明らかにし、効果的な骨量増加方法をみいだすことである。N大学看護学科の女子学生106人を分析対象とした。今年度は、特にビタミンD受容体遺伝子Apa 1、Taq 1、およびBsm 1の多型を、restrict-ion fragment length polymorphism(RFLP)法により解析した。各遺伝子型の発現頻度について、Apa 1に関してaaは36人(33.6%)、Aaは61人(57.0%)、AAは10人(9.3%)、Taq 1に関してttは0人(0%)、Ttは29人(27.1%)、TTは78人(72.9%)、Bsm 1に関してbbは78人(72.9%)、Bbは23人(21.5%)、BBは6人(5.6%)であった。若年成人女性の大腿骨頸部骨密度に対してカルシウム摂取量とApa 1多型およびTaq 1多型の交互作用がみられた。Taq 1多型について、Ca摂取量(x)と大腿骨頸部骨密度(y)の回帰直線の傾きは、Tt群(0.00020,R^2=0.154,p=0.0354)がTT群(0.00010,R^2=0,0524,p=0.0466)の2倍大きかった。Tt群におけるCa摂取量増加はより効率的に大腿骨頸部骨密度増加をもたらすと解釈できる。これはApa1多型においても同様であった。最大骨量をなるべく増やすためAA型、Aa型またはTt型をもつ者は特に十分なカルシウムを摂取すべきである。また、血中25(OH)D濃度はAA型またはBB型をもつ者でより低く、それらの人は十分な量のビタミンDまたはカルシウムを摂取することが望ましい。
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