研究概要 |
2002年のHLAシークエンスデータベースに基づき、HLA-DQB1アリル53種について多型性の存在するエキソン2並びにエキソン3領域についてアリルに特異的な領域をターゲットにしたCapture DNA(オリゴヌクレオチドプローブ)を固定したマイクロアレイを作製した。得られた基礎実験の結果は以下の通りである。 1.実験材料 同意を得た供血者の血液から抽出したDNAを用いた。アリルの型はPCR-SSP法とダイレクトシークエンス法により確認した。 2.プライマーの設計 HLA-DQB1の多型性が存在するエキソン2並びにエキソン3領域を増幅するプライマーを設計した。5'末端をビオチン標識して用いた。エキソン2領域を増幅するプライマーはセンスプライマー1本、アンチセンスプライマーを2本、エキソン3領域に対してはセンスプライマー、アンチセンスプライマー各1本を作製した。合計3組のプライマーを等量混合してマルチプレックスPCRを行ったところ、エキソン2並びにエキソン3領域を増幅する2本のPCR産物が確認された。以後このプラィマーを用いてアレイ実験を進めた。 3.Capture DNA(オリゴヌクレオチドプローブ)の作製 HLA-DQB1のエキソン2並びにエキソン3領域の多型性が存在する塩基配列にCapture DNAを設計してタイピングを試みた。Capture DNAは合計26種作製し、それらのオリゴヌクレオチド合成とガラス基板上への固定化は業者に委託作製した。反応パターンによりアリルの同定を試みた。 4.マイクロアレイ実験 方法は昨年度と同様にターゲットDNAをビオチン標識したプライマーによりPCR増幅後熱変性させ、マイクロアレイ上のCapture DNAとハイブリダイズ後、ストレプトアビジン-HRP複合物および発色基質(3,3',5,5-tetramethylbenzidine : TMB)溶液を用いて特異的にハイブリダイズしたターゲットDNAを発色反応により可視化(青色)する。風乾後OAスキャナーにて画像を取り込み解析した。アリルの型に対応した反応パターンを示すが非特異的反応を示すCapture DNAも存在し、それらの再検討は今後の課題である。
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