研究概要 |
肝癌培養細胞(PLC/PRF/5,Huh7,HepG2)に対し、PPARγ agonistであるrosiglitazone, pioglitazoneを加え、3種類の細胞ともapoptosisを誘導する事を確認した。さらに、5FU, CDDP, Epirubicinの3種類の抗癌剤をPPARγ agonistに加えて検討したところEpirubicinで有意にapoptosisが増強される事を見い出した。今回はさらに肝癌細胞に対するEGF receptorを介した細胞増殖系の抑制を同時に用いた場合の肝癌細胞の動態を調べた。EGF receptor signalの抑制はZD1839(Gefitinib)の同時併用によった。ZD1893の濃度依存性とtime courseを培養細胞で検討した結果、3種類の肝癌細胞では、IC50は約25μMであることが判明した。ZD1839との併用はpioglitazoneで増強した。ZD1893の作用部位である、EGF-R自体の発現を比較するために、real time PCRを用いて検討したところ、HepG2で他の2種の肝癌細胞よりEGFRの発現は低下していた。しかしZD1839の細胞増殖抑制はEGFRの発現による差異には影響されなかった。EGFRの発現自体はZD1839,pioglitazone, rosiglitazoneいずれも低下させる傾向があった。併用で用いた場合、pioglitazoneはそれぞれ単独で用いた場合のEGFRの低下を改善させる効果が見られた。今後nude miceでの細胞移植およびtransforming growth factor alphaのtransgenic mouseでさらに検討し、抗がん剤、PPARγ agonist, EGFR阻害剤の協調作用による肝癌抑制を臨床へ供する。
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