研究概要 |
C型肝炎ウイルスコア蛋白による肝発癌とPPARαの活性化との因果関係をvivoレベルで検討し以下の結果を得た。 C型肝炎ウイルスコア蛋白トランスジェニックマウス(コア蛋白+)とPPARαノックアウトマウス(PPARα-/-)を交配させ,(コア蛋白+:PPARα-/-)マウス(以下,交配マウスと略す)を調製できた。交配マウスを経時的に解剖し,肝臓を中心に解析を進めたところ、交配マウスの中に脂肪肝を呈したものは一匹も見られなかった。C型肝炎ウイルスコア蛋白トランスジェニックマウスではすでに同時期に高頻度に脂肪肝を呈していた。C型肝炎ウイルスコア蛋白による脂肪肝形成機構に,PPARαが極めて大きく関与していることを示唆する所見であった。 C型慢性肝炎における肝発癌機構において,肝脂肪化が促進因子の一つであることが疫学的に証明されている。この交配マウスの解析を通して,C型慢性肝炎における肝発癌機構と脂肪肝,PPARαの関連を明らかにできるかもしれないと考えている.引き続き解析を続行していく予定である. 臨床検討では、肝組織中に脂肪沈着のある症例では有意に肝細胞癌への進展率が高いことが確認された。ヒトの肝臓での脂肪沈着とコア蛋白、PPARαの関係を十分解析できておらず、今後の課題として残った。
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