研究課題/領域番号 |
15590635
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
加藤 則廣 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教授 (40224521)
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研究分担者 |
清島 満 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171315)
森脇 久隆 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50174470)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / TNFR-KOマウス / プロテオーム解析 / TNF-α / NF-kB / 炎症性腸モデル / Trinitrobenzene suiphonic acid (TNBS) / TNF / NF-κB / 実験的大腸炎モデル / TNFRノックアウトマウス |
研究概要 |
クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は未免疫学的な病態解明が進められているが、未だ原因不明な疾患である。最近、炎症性腸疾患において、腸粘膜局所のサイトカインが炎症のメディエーターとして中心的な役割を果たしていることが報告されている。たとえば、IL-2やIL-10のノックアウトマウスやIL-7のトランスジェニックマウスなどの動物モデルにおいて、ヒト潰瘍性大腸炎と類似した慢性大腸炎を発生することが明らかにされ、サイトカインネットワークの乱れが炎症性腸疾患の主な病態であることが示された。一方、臨床的にも、炎症性腸疾患患者の腸粘膜局所や血清および糞便中で、TNFなどの炎症性サイトカインが上昇することが報告されており、TNFがヒトの炎症性腸疾患の発症に重要な役割を果たしていることはほぼ間違いないと推察されている。すなわち、炎症性腸疾患の大腸粘膜上皮内において、TNFのシグナル伝達系で、TNFの下流に位置するNF-kBの発現が異常に高く誘導されることが既に報告されている。しかしNF-kBは主に細胞増殖のシグナル伝達を行っている一方で、炎症を惹起するサイトカインの誘導にも関与しているとされる。つまりNF-kBは炎症性腸疾患の大腸粘膜において、粘膜を再生して炎症を改善させるか、あるいは炎症を悪化させているか未だ明らかではない。 今回のTNFRノックアウトマウスを用いた研究は、炎症性腸疾患における免疫学的な側面からTNFの関与を明らかにすることにある。すなわち我々が有しているTumor Necrosis Factor Receptor(TNFR)ノックアウトマウスを用いた実験的大腸炎モデルを作成し、免疫学的な側面からTNFの関与を検討した。TNFRにはTNFR-1とTNFR-2が存在している。TNFR-1はNF-kBの誘導やカスペースを介するアポトーシスを誘導し、またTNFR-2はNF-kBを誘導するシグナル伝達系のみ関与していることが知られている。こうした受容体は臓器特異性があるが、腸管においてはどちらの受容体が有意に作用しているかは未だ明らかでなかったが、炎症性腸疾患におけるTNFの関与について全体像を把握することに努めた。 また治療法は従来からステロイドや免疫抑制剤が選択されて一定の成果が得られてきた。今では、抗サイトカイン療法として抗TNFα抗体の投与がクローン病に臨床応用され、さらに臨床的に高い有効性が報告されている。今回の検討から将来的には抗TNF抗体以外の新たな治療法の開発の糸口を見いだす可能性が期待される。
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