研究概要 |
【目的】肝細胞癌治療におけるインターフェロン(IFN)サブタイプ選択の必要性を明らかにする為、α2とα8および5-FUとの併用による肝細胞癌株でのアポトーシス誘導の相違について検討した。【方法】JAK/STAT系についてwestern blotting、caspase3・8・9の活性化について比色プロテアーゼアッセイ、ISRE活性化についてルシフェラーゼアッセイで検討した。また、これら効果の確認の為IFN情報伝達経路阻害-JAK1, Tyk2, IRF9の各蛋白のsiRNA使用、Caspase阻害-Caspase阻害剤使用、P13K阻害及びMAPK阻害-各阻害剤使用、による変化についても解析した。肝細胞癌株(Hep3B)培養上清にIFNα2・α8を1000IU/ml、5-FU10μg/mlを加え培養後アポトーシス定量を行った。JAK/STAT系についてwestern blotting、caspase3・8・9の活性化について比色プロテアーゼアッセイ、ISRE活性化についてルシフェラーゼアッセイで検討した。また、これら効果の確認の為IFN情報伝達経路阻害-JAK1, Tyk2, IRF9の各蛋白のsiRNA使用、Caspase阻害-Caspase阻害剤使用、P13K阻害及びMAPK阻害-各阻害剤使用、による変化についても解析した。【成績】IFNα8の方がα2よりもアポトーシスをより強く誘導し、この効果は5-FU併用でより顕著になることが明らかになった。またCaspase8の活性化がCaspase3,9に比べてより強いことが判明した。Caspase9阻害剤投与によってCaspase9の活性は低下したが、下流CaspaseであるCaspase3の活性化の低下はわずかであった。一方Caspase8阻害剤の投与によってCaspase8,3いずれの活性も低下し、IFNと5FU併用によるCaspase活性化にはCaspase8経路がより重要であることが明らかになった。MAPK, P13Kの阻害によりアポトーシス・Caspase活性はともに抑制されなかった。JAK1, Tyk2, IRF9のいずれの作用が抑制されてもアポトーシス・Caspase活性は強く抑制され、IFN情報伝達経路全ての活性化が効果発現に必要であることが明らかになった。またJAK/STAT系の活性化は5-FUにより増強され、IFNと5-FUは相互に活性化することでその作用を増強していることが示された。【結論】肝細胞癌株に対するアポトーシス誘導能はIFNα2よりα8で強力で、5-FUと併用した場合、その差は顕著となった。この効果発現にはIFNにより活性化され、5-FUにより増強されるCaspase8の関与が大きいと考えられた
|