研究課題
基盤研究(C)
背景と目的 消化器癌細胞に腫瘍抗原CEAが高頻度に発現していることは良く知られているが、CEAを標的とした免疫療法の試みは、その抗原性の低さゆえに満足できる抗腫瘍効果を得るには至っていない。これまで、さまざまな抗腫瘍効果増強の試みがなされてきたが、抗原をより強く提示させより強力なCTLを誘導するためには、抗原ペプチドとMHCクラスI分子の結合の場である粗面小胞体へ、抗原分子を効率良く輸送することも重要なひとつの方法である。Calreticulin(CRT)は、粗面小胞体に局在する分子シャペロンであるため、CRT融合蛋白は抗原蛋白とともに粗面小胞体へ移動し抗原ペプチドとMHC分子との結合を促進するばかりでなく、抗原を細胞外に分泌させ抗原提示細胞のいわゆるcross-primingを経て、その抗原提示能を高めることが示され注目されている。また、full-length protein cDNAを用いたDNAワクチンはペプチドを用いる方法と異なり、すべてのアミノ酸配列が細胞内で発現しプロセッシングされるため、患者HLAに規定されずに抗原ペプチドとなりうる配列が免疫担当細胞に提示される利点を有している。平成15-16年度の実績 CRT cDNAはRT-PCR法を用いて増幅した。Full-lengthヒトCEA cDNAは、アラバマ大学のDr.Strongより供与を受けた。それらをpcDNA3.1のMultiple Cloning Siteにそれぞれ挿入し、pcDNA CRT, pcDNA CEAを作製した。また、CRTのStop codonを除いた配列をPCR法で増幅し、pcDNA CEAの5'側に挿入することでCRT/CEA融合蛋白を発現するpcDNA CRT/CEAを作製した。これらのDNAワクチンをC57/BL6マウスの筋肉内にday 0およびday 7にそれぞれ200μgづつ投与したのち、day 14に、マウス大腸癌細胞株MC38にヒトCEA遺伝子を導入したMC38-CEA2細胞(米国NIHのDr.Schlomより供与)をマウス皮下に接種した。その結果、対照のpcDNA mock投与群と比べpcDNA CRT投与群では腫瘍増殖に差はみられなかったが、pcDNA CEA投与群およびpcDNA CRT+pcDNA CEA併用群では腫瘍の増殖抑制効果が認められ、融合蛋白を発現するpcDNA CRT/CEAで免疫した群では、移植腫瘍の生着は認められず、CRT/腫瘍抗原融合蛋白をコードするDNAワクチンによる抗腫瘍効果の増強が示された。
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