研究課題
基盤研究(C)
1.NNK(4-methylnitrosamino-1-(3-pyridyl)-1-butanoneによる肝癌の作成Fischer 344ラットを用い、NNK(50mg/kg)を週3回投与し、ラット肝癌を作成した。2.NNKラット肝癌組織における癌関連遺伝子のDNAアレイ解析NNK投与により作成したラット肝癌組織における癌関連遺伝子のmRNAレベルでの発現の変化を検討した。結果は43遺伝子のmRNAの発現低下が認められた。3.NNKラット肝癌組織における癌関連遺伝子のメチル化これらの発現低下を認めた遺伝子について、MSP法を用い、メチル化の有無を検討した。結果はp16およびE-cadherinのメチル化を認めたのみであった。なお、これらの蛋白発現について、免疫組織学的に検討したところ、いずれも蛋白発現の低下も認めた。4.ラット肝癌に対する脱メチル化剤による発癌抑制および抗癌効果脱メチル化剤5-aza-2'deoxycytidineによる肝発癌抑制効果の検討では、NNKを投与開始し、これと同時に脱メチル化剤(1mg/kg)を週1回5週腹腔内に投与し、NNKによる肝発癌が抑制されるか否かの検討を行なったが、コントロールに比較して、発癌抑制効果は認められなかった。さらに、NNKを20週先行投与し肝癌を作成し、その後、脱メチル化剤を投与し、肝癌の進行阻止が可能かどうかの検討を行ったが、やはり有意な効果は見られなかった。また、脱メチル化剤投与による癌関連遺伝子の変化についてDNAアレイで解析を行ったが、有意な相違は見出せなかった。特に、p16およびE-cadherinの遺伝子メチル化に対する脱メチル化剤の効果は認められなかった。一方、脱メチル化剤によると思われる臓器障害は組織学的には認められなかった。
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