研究課題
基盤研究(C)
近年の免疫学、分子生物学および分子遺伝学的手法の進歩により、Crohn病の慢性炎症発症のメカニズムが解明されつつあり、さまざまな免疫異常が病態形成において中心的な役割を果たしていることが証明され、これにもとづいて新しい治療法が開発されつつある。しかし、新しい治療法を開発する際に、ヒトのCrohn病の病態に類似する良い実験動物モデルが少ないことが問題となっている。今回の研究においては、免疫不全マウスにCrohn病患者の造血幹細胞を移入して造血免疫系を再構築することにより、ヒトCrohn病の腸管粘膜免疫環境をマウスに再現させ、さらに患者糞便由来腸内フローラを定着させることにより、Crohn病類似の腸炎を惹起するヒト型Crohn病モデルマウスを確立することを目的とした。まず、NOD/SCIDマウスをIL-2RγcKOマウスと交配させ、NOD/SCID×IL-2RγcKO(NOG)マウスを樹立し、無菌環境下で繁殖させた。実験動物中央研究所および他の研究協力施設においてこのNOGマウスの免疫学的解析を終了し、ビニールアイソレーター内にて飼育・繁殖させ、移入実験に供与可能な供給体制を確立した。さらに、無菌環境下の急性腸炎誘発マウス(DSS腸炎マウス)および腸炎自然発症モデルマウス(IL-10ノックアウトマウス)に対して健常人由来のフローラを持つマウス(human flora-associated mouse : HF mouse)および潰瘍性大腸炎患者(UC)由来のフローラを持つマウス(UCFA)を作製し、ヒト腸内フローラの腸炎発症への関与を追究した。DSS腸炎マウスおよびIL-10ノックアウトマウスにおいて、HFAに比してUCFAの方が腸炎が重症化しており、腸内フローラの構成バランスの異常が、腸炎の発症あるいは腸炎の重症化に関与する可能性を示唆するものであると考えられた。
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