研究課題
基盤研究(C)
炎症性腸疾患の原因または増悪因子として腸内細菌が注目されているが、その病原性の解析は十分になされていない。我々は、潰瘍性大腸炎の大腸粘膜細菌と乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオテクスについて、大腸粘膜細胞侵入性と粘膜サイトカイン産生刺激能による病原性の解析を行った。その結果として、潰瘍性大腸炎の病変粘膜から分離された粘膜細菌の中に、粘膜細胞侵入性があり、かつ、粘膜からIL-6,IL-8,MCP-1などの炎症性サイトカイン産生を引き起こす細菌があることが判明した。特に、我々が潰瘍性大腸炎の原因の一つと特定したFusobacterium variumが一番高度であった。これらの菌が、潰瘍性大腸炎の原因、あるいは、再燃・再発因子となる可能性が示唆された。一方、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオテクスでは、粘膜侵入性がある菌株はほとんどなく、炎症性サイトカインの産生刺激能はすべて認められなかった。以上から、今まで、共生して無害と考えられていた腸内細菌の中に、粘膜上皮侵入性があり、炎症性サイトカイン産生を促進するといった病原性菌があることが明らかとなり、逆に、プロバイオテクスにはその様な病原性がないことが確認された。上記の結果は、研究代表者により、国内の研究集会をはじめ、第90回日本消化器病学会(2004年3月、仙台)で発表され、さらに、2004年5月ニューオーリンズで開催された米国消化器病学会(2004 DDW)、2005年5月第9回腸内細菌学会のシンポジウムでも発表された。
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Scandinavian Journal of Gastroenterology (印刷中)
Aliment Pharmacol Ther 21
ページ: 1017-1027
Aliment Pharmacol Ther 21(8)
Aliment Pharmacol Ther (印刷中)
Scand J Gastroenterol (in press)