研究課題
基盤研究(C)
(1)SERCA2転写活性化薬の創薬一次スクリーニング:SERCA2遺伝子プロモーターのpGL3ルシフェラーゼレポーターベクターを用い、薬剤ライブラリーをスクリーニングして、転写活性を1.5倍以上上昇させる化合物を9種ほど得た。候補化合物をラットの腹部大動脈縮窄による圧負荷心不全モデルに投与したところ、候補薬剤のうち数種類のもので、薬剤血中濃度の上昇を認め、心臓でのSERCA2 mRNA発現量を約20%増加させることができた。しかし、発現量増加の程度は心不全治療の観点からは不十分なため、新たな薬剤候補をさらに選別中である。(2)SERCA2遺伝子による遺伝子治療レンチウイルスベクターはhuman elongation factor-1 promoter下にSERCA2 cDNAを接続したベクターを構築した。ラット培養心筋細胞において、構築したベクターシステムにより、遺伝子の導入とSERCA2 mRNAおよび蛋白の増加を確認した。これをラット心筋梗塞による心不全モデルに、低体温下に遺伝子導入を行い、実験動物個体での心臓への遺伝子導入の効率について検討した。遺伝子導入7日後には、SERCA2遺伝子導入群で画出分画が16.5%から26%へ(対照のGFP遺伝子導入群では、16%から19%)と、有意に改善がみられ、遺伝子導入の効果が確認された。(3)RNA interference法を用いたPhospholambanの抑制によるSERCA2蛋白の機能亢進Phospholamban遺伝子の蛋白転写領域21核酸を選定し、ここに対する2本鎖RNAを合成し、Phospholamban siRNA導入システムを構築した。HVJエンベロープベクターを用い封入し、培養心筋細胞に遺伝子導入し、Phospholamban siRNA導入による発現抑制をmRNAレベル、蛋白レベルで確認した。また、心筋小胞体へのCa2+取り込み能を測定し、Ca2+取り込みに対する親和性の亢進を認め、治療手段としての有用性を確認した。
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