研究課題/領域番号 |
15590728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
安達 三美 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10323693)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 心筋細胞 / 細胞周期 / 細胞増殖 / サイクリンD1 / Skp2 / p27 / siRNA / ユビキチン化 / P27kip1 / 増殖 / SKP2 / p27kip1 |
研究概要 |
心筋細胞は終末分化細胞であり、増殖刺激に対して肥大という形で反応するも細胞増殖は誘導されない。我々は心筋細胞の増殖抑制メカニズムについて研究してきた。まず、細胞周期促進因子であるcyclin D1が、分化した心筋細胞では本来機能する核内に移行せず細胞質に局在することを見出した。そこで核移行シグナル(Nuclear Localizing Signal=NLS)を付加し、cyclin D1を核へ強制発現させることにより本来増殖能を持たない心筋細胞を増やすことに成功した(Tamamori-Adachi M, et al. Circ Res, 2003)。本研究課題においてサイクリンD1NLSにより誘導される増殖能には限界が認められ、培養系において細胞数は3倍までしか増加しないことが明らかになった。またin vivo実験で心筋梗塞ラットの梗塞巣の減少、心機能の改善、心不全の回復傾向は認められるも軽度にとどまった(論文投稿準備中)。そこで再増殖停止機構を明らかにすることにした。まず本来増殖細胞においては分解され発現は抑制されているはずのCDK阻害因子であるp27^<kip1>の発現が強く誘導されることに注目し、siRNA発現アデノウイルスベクターを用いてノックダウンさせたところ、D1NLS/CDK4心筋の細胞周期がさらに促進され細胞数の増加も観察できた。以上より、P27がいったん開始した心筋の細胞周期進行の阻害に深く関わっている可能性が示唆された。さらに心筋細胞ではp27のユビキチンリガーゼとして知られるSkp2がユビキチン・プロテアソーム系により分解されていることを確認し、これがp27集積の原因であると考えた。そこでSKP2をコードするアデノウイルスベクターを感染させたところ、P27が分解され、細胞数もさらに3倍から6倍以上まで増加した。このことから終末分化した心筋細胞を強制的に増殖させるとp27が強く集積しブレーキとして働くこと、そのメカニズムにはSKP2の過剰なユビキチン活性の亢進が関与していることが示唆された(J.Biol.Chem.279:50429-50436)。
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