研究課題/領域番号 |
15590734
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀場 充 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (40345913)
|
研究分担者 |
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
門松 健治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80204519)
村松 喬 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00030891)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | ミッドカイン(MK) / 心筋虚血再灌流障害 / アポトーシス / MKノックアウトマウス / ミッドカイン (MK) / 心筋虚血再灌流傷害 / ミッドカイン |
研究概要 |
MKの心筋虚血再灌流傷害に与える影響 本科学研究費申請時には、MKの持つ炎症細胞遊走促進作用に着目し、MKKOマウスの虚血再灌流傷害が野生型と比較して炎症反応が抑制されるため傷害の程度が軽減されるとの仮説のもとに実験を開始した。予想通りMKの発現は梗塞周囲に認められたが、驚くべきことにMKKOマウスの虚血再灌流傷害は野生型より有意に増大しており、当初の仮説とは全く逆の結果を得た。TUNEL染色法などによるその後の解析の結果、心筋虚血再灌流時にはMKの抗アポトーシス作用が強く関与していることが示唆された。さらに炎症反応はMKKOマウスの方が著明で、アポトーシスを含む再灌流傷害の一次性変化が二次的に引き起こされる炎症反応の程度を決定づけていることも示された。以下に個々の実験結果について要点を示す。 マウス心筋傷害モデル(虚血再灌流による)の作成と心機能評価 腹腔麻酔後人工呼吸管理下に開胸し、左冠動脈前下行枝を30分結紮したのち再開放することで心筋虚血再灌流を作成した。24時間後に心臓超音波にて心機能を評価後、心臓を摘出し傷害面積、病理組織学的変化、傷害関連の各種蛋白発現などの比較検討を行ったところ、野生型に比べてMKKOでの著しい心機能低下が認められ、さらにMKKOにて梗塞巣周囲でのアポトーシス亢進がTUNEL染色にて確認された。 傷害心筋細胞におけるシグナル伝達系に与えるMKの影響(培養心筋細胞実験) 従来まで神経細胞や癌細胞で報告されていたMKの抗アポトーシス作用につき心筋細胞を用いて詳細に検討した。24時間無血清で培養した心筋細胞に対してMK蛋白100ng/mlを添加したところ、30分後にリン酸化ERKの発現が有意に増大した。このことより、心筋細胞においてもMK蛋白の添加によりERKがリン酸化されることを確認した。また培養心筋細胞に対して低酸素-再酸素化による細胞障害を加え、MK蛋白100ng/ml添加の有無によるアポトーシスの増減を評価したところ、MK蛋白添加によりBcl-2の発現が増大し、さらにアポトーシスの有意な抑制が認められた。これらの結果より心筋細胞に対してMKの抗アポトーシスが強く影響することが示唆された。 MK蛋白投与による心筋傷害抑制効果の評価 生体中でのMKの心筋細胞保護効果を解析するため野生型マウスに対してMK蛋白投与を行った。再灌流時に30G針にて心室筋内にMK蛋白を直接注入したところ、心臓超音波による評価ではMK蛋白投与群で有意な心機能改善を認めた。また摘出心では障害面積、病理組織学的変化のいずれにおいてもMK蛋白投与による傷害抑制効果が認められた。これらのことから、MKは虚血心筋傷害時の治療へ応用できる可能性が示唆された。
|