研究課題
基盤研究(C)
STAT3を中心として、サイトカインシグナルが心筋細胞において保護作用を示すさまざまな分子の誘導に関わっていることを、in vitroの培養心筋細胞を用いた実験系、および遺伝子改変動物を用いた疾患モデルにより明らかにしてきた。Smad1あるいはconstitutive active STAT3を心筋特異的に高発現するトランスジェニックマウスを用い、心筋リモデリング/心不全のモデルとして心筋梗塞を作製し、これらのマウスにおいてアポトーシス抑制あるいは抗酸化作用により梗塞後の心不全が軽減され、生存率が有意に改善されるという結果を得た。近年、G-CSFが心筋梗塞後のリモデリングを改善することが報告されているが、当初は骨髄からの細胞動員の増加に伴い梗塞巣および周辺領域に骨髄由来細胞が集積し、心筋細胞の再生に関与していると考えられていた。G-CSFはSTAT3を活性化することにより作用を示すことが知られており、dominant negative-type STAT3(dnSTAT3)を心筋特異的に高発現するトランスジェニックマウスを用い、G-CSFの保護効果について検討をすすめた。(千葉大学、小室教授との共同研究)マウスへのG-CSF投与により心筋梗塞後に心筋に集積する骨髄由来細胞の数はコントロールと比べ増加しないこと、また、心筋細胞にG-CSFレセプターが存在していることが明らかとなった。心筋梗塞を作製したdnSTAT3トランスジェニックマウスにG-CSFを投与したところ、G-CSFの保護作用は著しく減弱した。以上より、G-CSFはSTAT3を介して直接に心筋細胞に作用して心筋細胞保護効果を示し、心筋梗塞後のリモデリングを抑制することが明らかとなった。
すべて 2005 2004 2003 その他
すべて 雑誌論文 (16件) 図書 (2件) 文献書誌 (6件)
Nature Medicine 11
ページ: 305-311
Heart Vessels 19
ページ: 237-241
Circ J 68
ページ: 592-594
J Am Soc Echocardiogr 17
ページ: 397-398
Hypertension 41
ページ: 956-962
Circ Res 93
ページ: 221-229
J Mol Cell Cardiol 35
ページ: 1179-1181
Diabetes Care 26
ページ: 1647-1648
Circulation (in press)