1)高血圧ラットモデルにおける解析 高血圧を呈するSHRラットを用い、電気生理学的に心房細動を発症しやすいことを確認した上で、イオンチャネル遺伝子発現の組織生化学的解析を行い、イオンチャネル遺伝子以外の要素である組織線維化が重要であることを明らかにした。このことは高血圧に伴う心房細動治療に現在の抗不整脈薬に限界があることを示唆した。 2)肺静脈周囲部の分子生物学的解析 すでに心房細動の発症に大きな意義をもつことが明らかとなっている肺静脈心筋細胞のイオンチャネル遺伝子発現を検討し、HCN4遺伝子の強発現が見られることを見いだした。このHCN4チャネル遺伝子発現肺静脈心筋細胞は、高血圧や加齢による線維化によりcompartmentalizeされることにより、異常電気活動の成因となりうると考えられた。 3)ストレス誘発性、アルコール誘発性心房細動 両者をsimulationするため、ラットに対してデキサメサゾン、エタノール腹腔内注射を行い、新たな心房細動モデルを作成した。このモデルでは腹腔内注射4〜6時間で心房細動易誘発性が認められることから、「電気的リモデリング」を介するものと考えられた。イオンチャネル遺伝子発現をスクリーニングすることにより、その責任遺伝子がKv1.5チャネルにあることを明らかにした。 このような一連の実験により、心房細動の背景因子により、その責任となる分子が大きく異なることを明らかにした。
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