研究課題
基盤研究(C)
気管支喘息は複数の遺伝子の影響に加え、ある特定の環境因子が引き金になることで発症する。本研究では、日本人において喘息発症に影響を与える遺伝因子を検討するために、包括的遺伝子発現解析から喘息病態との関連が大きいと考えられるいくつかの候補遺伝子に着目し、それらの遺伝子に存在する機能的な遺伝子変異の喘息発症における意義を検討した。個々の遺伝因子の寄与度が大きくないことを踏まえ、検出力もっとも高いと考えられる患者対照研究を用いた。またそれぞれの候補分子が持つ生理的な機能から、生物学的に意味があると考えられた場合には遺伝子-遺伝子交互作用についても検討した。検討した遺伝子は高親和性IgE受容体β鎖遺伝子(FCER1B、11q13)、マクロファージ遊走阻止因子遺伝子(MIF、22q11)さらにはプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター遺伝子(PAI1、7q21)である。気管支喘息患者(約400名)、健常人(約400名)を対象とした。FCER1B遺伝子の-109C/T多型は喘息患者における血清総IgE値に遺伝的な影響を与えていた。MIF遺伝子多型はアトピーの有無と有意に相関した。一方、FCER1B遺伝子とPAI1遺伝子いずれの多型も単独では気管支喘息との間に関連を認めなかったが、FCER1B遺伝子がTT型の場合にはPAI1遺伝子5G5G型が4G型を有する遺伝子型(4G4G or 4G5G)に比べ有意に喘息発症のリスクが小さかった。これらの一連の研究結果は、検討したそれぞれの分子の喘息病態における重要性を遺伝疫学的な手法で確認したことに加え、FCER1BとPAI1との交互作用の存在から、これらの分子を内包した共通のpasswayの存在と、それらの喘息病態における重要性を示したことに意義がある。
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