研究課題/領域番号 |
15590805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
久米 裕昭 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50303631)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 気管支喘息 / Rho / 気道過敏性 / β受容体耐性化 / 気道リモデリング / Ca^<2+>感受性 / Ca^<2+>動態 / 気道平滑筋 / 気道過敏症 / β-アドレナリン受容体耐性化 / 細胞増殖 / スフィンゴシン1リン酸 / Y-27632 / 脂質メディエーター / βアドレナリン受容体耐性化 |
研究概要 |
気管支喘息の難治化の要因である、気道過敏性亢進、βアドレナリン受容体耐性化、気道リモデリングと、低分子量G蛋白Rhoの関与を検討した。 モルモット気管平滑筋の切片をFura-2で処理し、等尺性張力と細胞内Ca^<2+>濃度(F_<340>/F_<380>)を同時記録した。脂質代謝産物であるスフィンゴシン1リン酸(S1P)を15分間以上曝露した後は、メサコリン(MCh、ムスカリン受容体刺激薬)による収縮が濃度依存性に増大した。このMChに対する反応性の増強(気道過敏性亢進)は、低分子量G蛋白であるRho、およびその標的酵素であるRho-kinase由来の細胞内Ca^<2+>感受性の亢進が重要な役割を果たしている。そして、この細胞内情報伝達系には三量体G蛋白Giとの相互作用が関与している可能性が示唆された。 S1Pを持続曝露した後に生じるβアドレナリン受容体刺激薬に対する反応性の低下(βアドレナリン受容体耐性化)は、Rho/Rho-kinase系由来の細胞内Ca^<2+>感受性の亢進によって起こる。この現象の機序には同様にGiが関与している。しかし、βアドレナリン受容体刺激薬を繰り返し曝露した後に生じるアドレナリン受容体耐性化にはRho/Rho-kinase系の関与は乏しく、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇(Ca^<2+>動態)によって起こる。このCa^<2+>動態は、電位依存性Ca^<2+>チャネルから流入細胞内へ流入するCa^<2+>の増加が重要な役割を果たしている。 ヒト気管支平滑筋の培養細胞において、S1PはRho-kinaseの特異的な標的であるミオシン脱リン酸化酵素のなかのmyosin phosphatase targeting protein(MYPT1)をリン酸化することにより細胞内Ca^<2+>感受性を亢進させる。さらに、このRho/Rho-kinase系は、平滑筋細胞は増殖するので気道リモデリングにも影響を及ぼしている可能性が考えられる。 以上の結果から、Rho/Rho-kinase系は気管支喘息の基本的な病態に深く関与し、難治化の因子と成りうるため、あらたな治療の分子標的である可能性が考えられる。
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